妄想三流建築士

キャストドール(球体関節人形)の写真などをぽちぽち載せるブログです。苦手な方は全力退避でお願いいたします。


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ヴァニタス、ヴァニタス

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髑髏のオブジェ。すてきです。
写真撮ったら、ひとネタできたので、以下の写真にはお話テキストが挟まります。
テキストは要らん、という方は、目を細めてご覧下さい。

※出演:リュー(Romeo)/アラステア(Y's DD)
※男性ドール同士が密着します。
※全寮制男子校出身者設定です。

畳みます。

 
□■□

ご機嫌よう、久しぶり。
機嫌が悪いね。
こんなものを持ってきたから?
だけどこれは、君のためだよ。

『死を忘れることなかれ』――わざわざ書き記したギリシャ人は、ストイックかい?
もちろん逆さ。

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君もギリシャ人と同じだよ。
浮かれ騒いで、死の運命を忘れてる。
自分は殺す側だと思ってる。
その実、調理済みの肉ばかり食っている。

どうしてそんなことを言いに来たかって?
そろそろ思い出してるんだろう。

僕は君の同級生だ。
ほら、昔、ほんの数年君が通った、あのばかげた旧式の寄宿学校の。

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当時の僕は成績優秀、容姿端麗。
全部の後輩の憧れで、先輩方の高嶺の花。
音楽会の後のふざけたダンス。
誰もが僕と踊りたがった。
だけど僕は君を選んだ。

校内一の悪党だった君を。

――覚えてる? 君がどうしたか。
学内行事になんて、何ひとつ真面目に出なかった君。

だけどあのときは、僕と踊ったね。

君のステップは恐ろしいまでに正確で、息が詰まるようだった。
薄氷を踏むような、一本の糸の上を辿るような、それでいて強引な。

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ねえ君、知っていたかい?
あの日僕は、死のうとしていたんだ。

ありふれた理由さ。最低のスキャンダルで、父の事業が失敗した。
母にはあらかじめ恋人がいた。
その「恋人」は、妹の許嫁だった。

僕は親友にだけ事情を打ち明けた。
彼は戸惑った顔で、「金は貸せない」と言った。
僕は笑った。他に出来ることは何もなかった。


僕は、死のうとしていたんだ。

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君はあのころ、一体どんな悪事を働いてたんだろう。

思えば僕らは、君の悪の内容をまるで知らない。
確かに君は授業はサボった。
喧嘩もしたとは、何度か聞いた。
香水みたいに、珈琲と煙草の香りをまとっていたのも知っている。

だけどそんな最上級生なら、他にもたくさんいたんだ。
なのに君は、他とは違った。

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多分僕らは気づいていたんだと思う。

君の、死の匂いに。

そして君も気づいてたんだろう?

僕の、死の匂いに。

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君にダンスを申しこんだのは、腹いせだった。
ダンスの約束をしていた親友への意趣返し。
僕は最低の男に言いよって、手ひどくふられてみたかったんだ。
やたらと誉めたたえられた僕の価値をゼロにして、みんなの間抜け面を眺めて笑って、その後気持ちよく死のうと思ってた。

たったひとつの誤算は、君。
君はダンスを断らなかった。
僕を含めて、みんながぽかんとして毒気を抜かれて、その場はそれでうやむやになってしまった。

だけど、もう一度君に会って、君がどういう奴かわかったよ。

6年間の学校生活の中で、たった一度だけ君は踊った。
そして今、君は、名も覚えていない落ちぶれた僕を部屋に入れた。
――容色を切り売りするのにうんざりして、誰かに殺してもらいたくなった僕を。

さて、これからどうしようか。

また、一緒に踊ってでもくれるかい?

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ねえ、君。
覚えておくといいよ。

君は死の匂いが好きなんだ。

死は死を呼ぶよ。


【End/Mement Mori】
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八尋

Author:八尋
ウェットでもあってドライでもあり、ジオラマのように人形を愛でているぼんやりオーナー。
首都圏在住。

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