妄想三流建築士

キャストドール(球体関節人形)の写真などをぽちぽち載せるブログです。苦手な方は全力退避でお願いいたします。


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ハッピーエンドコンプレックス

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マフィアもの小話です。
一連の話の続きですが、これは単独で読めるやつです。
リューとグレンの話。
今年はこれに決着をつけられるといいなあ。

【配役】
リュー:犯罪組織の二代目。父親に反旗を翻す機会を狙っている。
グレン:リューの用心棒。

続きは畳みます。


 
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お話はハッピーエンドが一番よ、悲劇なんかいらないわ。

俺の母親の口癖です。

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うずたかく積まれたホイップクリームに、垂れ流しの糖蜜。

俺は、そういう話をのど元まで詰め込まれて育った子供でした。

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もちろん、育ちがよかったのは本当です。

だけど今考えると、母親の甘い話好きはちょっと異常でしたねえ。

きっと何か、悪い予感みたいなものと戦ってたんじゃないかな。

自分はハッピーエンドで終われない、そんな予感。

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――あなたとはまったく逆でですね。

あなたからは、甘い話を聞いたことがない。

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初めてであったときのこと、覚えてらっしゃいますか?

俺が自分の足を食おうとしていたときのことですよ。

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ほんの子供のころ、俺の家には強盗が押し入って、家族全員を煮こんでスープを作った。

その臭いを嗅いで以来、俺は人間にしか食欲を覚えなくなりました。

他の何を食べても粘土みたいで、毎日やたらと空腹でね。

段々神経がまいってきちゃって、もうそろそろ、ひとを殺して食うしかないなと思ってた。

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でもね、俺はどうしても、あんなクソどもと同じになるのは嫌だったんです。

甘い話をいっぱい教えてくれた母さんと、勉強にはうるさいけど、全部のポケットから美味しいお菓子を取り出してくれる父さんと、喧嘩ばっかりだったけど近所のクソガキどもから何度も守ってくれた姉さんと。

大事なひとたちがただの肉になるのは、とても悲しく虚しいことでした。

だから俺は、誰か殺して食べるくらいなら、自分を切り刻むしかないと思ったんです。

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そんな僕の話を斜めに聞いて、あなたは笑った。

……笑える話じゃねえでしょう、常識的に考えて。失礼ですよ。

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初対面がバイト先だったんでしたっけ?

そりゃ、着飾ってにっこり笑ってる俺は、年相応にも見えなかったでしょうけど。

なんで俺のこと気に入ったんですか?

俺がある日バイトをやめて、手斧を持って自分の足を見つめてたとき、あなたはいきなりやってきた。

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ぶちぎれて事情をぶちまけた俺に、あなたは言いました。

死にたいなら死ね、生きたいならついてこい。

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ついていって何が変わるんです? どうせ何か悪いことやらせるんでしょ。

俺は別に悪人になりたいわけじゃない。

俺はつんけんして言いましたけど、あなたは諦めなかった。

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俺がお前にやるのは、金と気晴らし、誰かを殺す命令と達成感、小さな誇り。

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誇りってなんですか?

人殺しが誇りなんか持てるんですか?

あんたは俺の罪悪感をひとりで持って行こうっていうんですか?

そんなことができると思うんですか?

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何を問いただしてもらちがあかないもんだから、俺は悪態を吐きました。

あなた、すぐに死にそうな顔してますね。死にますよ。って。

そのとき、あなたは言ったんです。

俺が死んだら、食っていいって。

実に気易い台詞でしたねえ。だけどなぜだか、あなたが本気だってのはよくわかりました。

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そんなあなたにふらふらっとついてきちゃったんだから、俺は母親と似てるんでしょう。

つまり、ハッピーエンドが大好きなんです。

あなたが語る、血でべったべたのハッピーエンドが、俺はとっても大好きですよ。
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八尋

Author:八尋
ウェットでもあってドライでもあり、ジオラマのように人形を愛でているぼんやりオーナー。
首都圏在住。

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