妄想三流建築士

キャストドール(球体関節人形)の写真などをぽちぽち載せるブログです。苦手な方は全力退避でお願いいたします。


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昨日、死ぬ夢をみた

I had a dream to die yesterday

「夜が瞳を開くとき、わたしは
自分がとても不自由で、不完全な生き物だったと思い出す」

なんとなーくグロめな話です。
畳みますね。
 

血の匂いが部屋全体に充満しきったころ、なんとも言えない眠気に襲われた。

多分、少ししあわせだったのだと思う。

doll20141128002.jpg

重いまぶたでしばたたいていると、脇に控えたバートラムが冷淡な声を出した。

「眠いんですか? こんなときに?」

「こんなとき?」

「信じられない。こんな汚いものを前にして」

最後は吐き捨てるように言う。
嫌悪感をあらわにするバートラムは、珍しく、人間のように見えた。

リューはバートラムを横目で眺め、床の上の『それ』に改めて視線をやった。
かつてひとであったそれは、まだ一応息をしていた。
寒いのだろう。
自分の血に濡れた床に小さく縮こまって転がり、おかしなくらい痙攣していた。

彼を見つめているうちに、リューは昨日の夢を思い出した。

doll20141128006.jpg

昨日の夢の中で、自分はあらかじめ死んでいた。

うち捨てられた死体は、あっという間にしかるべき存在によって食い尽くされた。
己の白い頭蓋骨の眼窩をぞろりとムカデが這っていくのを、リューは頭蓋の奥から眺めていた。

あれは幸せな夢だった。

誰も自分の死を悼んでいないのがわかった。
おそらく葬式すらされなかったのだ。

バートラムは、自分の職務に戻り、
グレンは、新しい人生を見つけ、
アラステアは、自分の死に爆笑して祝杯をあげた。

自分はただ死という強大なものに、虫のようにひねり潰されて、もう誰を殺すこともなければ、愛そうとすることもなく、ただ一個の頭蓋骨として道ばたに転がっており、やがてやってきた子供が、呪われた頭蓋骨をボール代わりに蹴る。
ムカデは慌てて逃げ出したが、自分の死で不幸になったのは、おそらくそのムカデだけだった。
からっぽの自分が転がっていく。
眼窩を風が吹き通る。

完璧な孤独、完璧な死。
あれは美しい夢だった。

「汚くはない」

「なんですって?」

バートラムが、いかにもいらだった声を出す。
リューは夢の記憶をそっと横へ押しのけると、彼に向かって手を伸べた。
からっぽのてのひら。
バートラムはすぐに察して、そこに拳銃を載せる。

リューは地下室の床の上で虫みたいに震える男に銃口を向け、少し眠たげに瞬く。

いつもより穏やかに、彼は言う。

「汝の死に幸いあれ。もう大丈夫だ。これからは、全部よくなる」

痙攣し続ける男が、わずかにこちらを向いた気がする。
リューは、ごく軽く引き金を引いた。
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八尋

Author:八尋
ウェットでもあってドライでもあり、ジオラマのように人形を愛でているぼんやりオーナー。
首都圏在住。

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