妄想三流建築士

キャストドール(球体関節人形)の写真などをぽちぽち載せるブログです。苦手な方は全力退避でお願いいたします。


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錦鯉

Nishikigoi

いきなりキャロル(Benkel)さんブームがきたので、しばらく彼を撮っていました。
ついでにバートラム(Vezeto)さんとも絡ませておきました。

以下には写真と小話が畳んであります。
フォトストまでいかない感じです。
愛も恋もないですが、BL注意だと思いますので、自己判断でどうぞ。
 
■□■

目の前で、赤い魚の尾がうるさく動くので、何も考えずに手に取ったのだ。

doll20141011000.jpg

「痛い」

キャロルは小さな悲鳴をあげてバートラムを見あげ、すぐに怯えた顔になった。

「……僕の髪、どうかしましたか」

「髪?」

何を訊かれたのかよくわからず、バートラムは彼を見下ろし、自分が彼の髪を一筋手に取っていることに気づいた。
ほとんど無意識の所作であった。
なんでもない、というのは簡単だったが、そのまま髪を手放す気になれなかった。

軽く髪を引いてみると、キャロルは痛みで少しばかり顔を歪め、素直に一歩、二歩の距離をつめてきた。
気弱な小動物じみた彼に、バートラムは問う。

「なぜ染めた?」

doll20141009001.jpg

「なぜって、その、僕みたいなギークには似合わないってことですか?」

doll20141009002.jpg

落ち着かない瞳で訊いてくるキャロルの顔は綺麗だった。
学生時代の彼がどれだけマニアックな趣味でも、小心でどもりがちでも、この程度の容貌があれば、取り巻きか騎士のひとりふたりは出現しそうなものだ。

なのに彼は孤独だった。
バートラムが黙っていると、キャロルは慌てたように喋り出した。

「――駄目なんです、僕。
学校でも、ゲームコーナーでも、近所でも、どこに行っても友だちができなくて。
できたと思ったら、よくわからない派閥争いとかになって。

どっちにつくか選べとか、僕を中心に何かをやるとか、
今やっていることは全部やめて手下になれとか、
出来もしないようなことを言ってからかわれて。
無理だから、僕は本当に駄目な人間だから、何もできないし誰の味方も出来ない。

そう言うと、殴られたり後をつけられたり嫌な噂を流されたりして。
『お前が悪い』って言われて。

doll20141010002.jpg

それでわかったのは、僕は何をやっても駄目だっていうことでした。

どう気を使っても、周りに馴染もうとしても、結局駄目なんです。
僕は周りを傷つけるし、僕も傷つく。
それは一生変わらないことだから、目立たないようにしても無駄だと思って。

赤は僕の好きな色です。

仕事で成功したりして、たまに、僕も生きていてもいいのかも、って思うとき、
全身の血が温かくなる感じがして、少し目の前が赤くなります。
そのときの気持ちを忘れないように、僕は髪を赤く染めることにしました。
これは僕がここにいる証しです。僕の血の色です。

僕が駄目なのは、もうしょうがない事実です。
それでも僕は生きていくことにしたので。

すぐにくじけてしまわないよう、
誓いの色を目の前にちらつかせておくことにしたんです」

doll20141009003.jpg

そこまでたどたどしく喋った後、キャロルは、喋りすぎましたね、と言って青くなった。

そうでもない、とバートラムは思ったが、キャロルを安心させるために喋るのは面倒だった。
代わりにキャロルの髪をもう少し手にとって、さらに引き寄せ、彼がおびえきったまま身を寄せて来るのを待った。

キャロルは行き場をなくして、おそるおそるバートラムの肩あたりに顔を寄せる。
けして目を合わせようとはしなかった。
赤い髪が視界に広がる。
命の色だった。
弱い彼の、強さの色だった。

彼の強さを愛しく思えたらよかったのかもしれないが、バートラムの胸に浸みてきたのは、淡い憎しみだった。
その強さに、無邪気さに、無邪気に踏みつけてきたであろう他人の存在に、こんこんと悪意が湧いた。

『お前がどうにかしろ。得意だろう』

そう言ったリューの顔を思い出さなければ、悪意が静かにコップの縁から零れてしまいそうだ。
久しぶりの生々しい感情をもてあましながら、バートラムはキャロルの髪を撫でる。
ことさら丁寧な手つきに、キャロルは怯えて震え、そしてゆっくりと力を抜いた。
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八尋

Author:八尋
ウェットでもあってドライでもあり、ジオラマのように人形を愛でているぼんやりオーナー。
首都圏在住。

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