妄想三流建築士

キャストドール(球体関節人形)の写真などをぽちぽち載せるブログです。苦手な方は全力退避でお願いいたします。


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ミノタウロスの温室

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「怪物はどこにいたのだろう」

LouLouDollのトリボウシさんと写真を撮ってきました。
赤毛がトリボウシさんちのサミュエルさん(Luts Dion)。
サミュエルさんはリュー(Romeo)の学生時代の友だちなので、
そんな感じで撮っております。

どうでもいいことですが、学生時代リューは
「頭身下げる」「髪の毛縛る」「黒手袋必須」で、普段と区別しています……
自分がやりたいだけのこだわり。

以下はポエム調ストーリーこみになりますので、畳みますね。


 
■□■

「怪物はどこにいたのだろう」

十代の頃、父親の力は絶対だった。

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寄宿制の貴族学校に放りこまれたのは、
実のところ、主治医の助言によるものであった。

「息子さんを殺したいのですか」

と問われた父は、しばらく考えた後、
笑って首を横に振った。

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「絵が描けるよ、ルディ。ひとりは寂しいだろうが、あっちでは、絵が描ける。
お前が望むかぎり、望むだけ、絵が描ける。
お前は絵が好きだろう。

わたしは一度も、お前に絵を教えたことはないけれど」

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あの頃は一番絵を描いた。
どれも母親の絵だった。
母親のことは覚えていない。
彼女が生きていたころ、自分は酷い弱視で、
その頃の目は産業廃棄物として静かに腐っていった。
母親は絵の中にしかいなかった。

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「狼」

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「狼、僕は、お前の描いた絵を見てみたい」

そう囁いた相手は、幽霊のような男で、
おそらく本当に死んだように生きていたのだろう。

金だけで学園に押しこまれた幽霊。
自分の同類。

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授業をさぼって、眠りに行った薔薇温室で、

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消灯過ぎ、眠れる場所を探して上った時計塔の螺旋階段で、

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人工の木枯らしが吹く小道で、彼は絶えず、ひとならぬ言葉を話した。

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「お前のアリアドネは見つかった?」

死刑囚は、女から糸玉と短剣を受け取って、迷宮へ下りていく。

「短剣なら、もう持っている」

「そう。でも、糸がなければ帰れない」

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「迷宮から帰れなかった者は、自分も怪物になるんだよ」

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「お前の描いた絵を見てみたいな、狼」

「俺が描くのはアリアドネではなくて、ただの死人だ」

外に出ようとは思わなかった。
迷宮の中で生まれた者が外に出ても、光で目がくらむだけだろう。

自分は迷宮の中で墓穴を掘っていただけだった。
死んでいったものを埋葬したいだけだった。

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死は暗黒の光だ。
埋葬された死は祝福だ。

たとえば自分の死は、世界に優しいだろう。
もう、自分に苦しめられる者も、殺される者もいなくなる。

彼と話すうちに、無風のようなものになりたいという夢をみた。
ほんの瞬きの間の夢だった。

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「お前は行くのだろう、狼」

卒業のころ、珍しく人間らしい顔で言った彼のことを覚えている。
行かない、というのは、つまり、死ぬことだった。
そうは言わずに、指輪の半欠けを渡した。

あれから十年近く経った今日も、ここは迷宮の中だ。
絵を描くことはなくなった。
自分は暗い螺旋を歩いて行く。
あのころ彼と語り合った、真夜中の時計塔の螺旋階段のようだ。
下りていく先に、ちらちらと白い光が見え始める。
あれは温室の薔薇だろうか。

この迷宮の底にたどり着いたとき、おそらくそこには、空の玉座があるばかりなのだ。

「怪物はずっとここにいる」
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テーマ : ドール    ジャンル : 趣味・実用

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八尋

Author:八尋
ウェットでもあってドライでもあり、ジオラマのように人形を愛でているぼんやりオーナー。
首都圏在住。

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