妄想三流建築士

キャストドール(球体関節人形)の写真などをぽちぽち載せるブログです。苦手な方は全力退避でお願いいたします。


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路地裏、ナイフ、幽霊

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たまーにやってるマフィアものストーリーです。

※妄想小話注意。
※血糊(画像加工による)注意。

出演はグレン(Dyuke)、キャロル(Benkel)、???(Dyuke)です。
キャラ設定を読むと多少わかりやすいかもしれません。

一応「そう、私は断ち切るもの」の続きっぽいかもしれません。
この写真のグレンさんのアクセサリ、切れちゃってますね……今はなおしました。
妄想耐性のある方は続きもどうぞ。
 
■□■

「幽霊の話、する?」

「しません」

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「なんで! どうして! キャリー冷たい。せっかくオフに親好深める気満々でご飯誘ったのに」

「僕はどうしてせっかくのオフにあなたと場末のチャイナタウンにいなくちゃならないのか、さっきからずっと疑問に思ってます」

「そりゃあれでしょ、俺のほうがキャリーより強いから」

「脳筋は嫌いです」

「好きになってよ」

「じゃあ暇だからって僕に武術の技かけるのやめてください」

「嫌だ」

「死ねばいいのに……」

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「冷たいの。じゃあ、あれだ。今日は面白い話聞かせてやるよ」

「武術と女の子には興味ないです」

「幽霊の話は、武術とも女の子とも関係ないよ」

「オカルトなんかますますごめんですよ」

「バートラムがしてた話でも?」

「……なんの話ですか、それ。あのひとが幽霊話をしてたっていうんですか」

「うん、してた。しかも社長と」

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「このへんでさ、幽霊に会ったっていってたんだよね。あの、超のつく現実主義者のバートラムが」

「……社長は、なんと?」

「俺に気づいて、バートラムだけ外に連れ出してた。つれないよねえ、俺と社長は犬と飼い主みたいなもんなのに」

「それって親しいのか親しくないのか、微妙な比喩だと思いますが」

「親しいし、親しくないんだよ。とにかくさ、バートラムが見たっていう幽霊、見たいと思わない? それとなく聞いて回ろうかと思ってんの。キャロルも一緒にやるよな?」

「やりません。社長に怒られます」

「怒られるの怖いの?」

「怖いです! 僕はバートラムさんに届け物があるので、ここで失礼します」

「あらら、つれない。俺にももっと懐いてよ。可愛く頼んでくれたら、護衛してあげるけど」

「結構です!」

 ぴしゃりと言って、キャロルは歩き出す。
 幽霊だなんて、ばかな話だ。
 死んだ後があると信じたい人間の戯言だ。
 
 バートラムはそんな人間ではない、と、キャロルは思う。
 彼は全てを淡々と受け止める。
 あるがままに生きて、あるがままに死ねる。
 そういう強さがある。

「キャロル・クリーヴランド?」

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 はい、と答えかけて、喉の奥で声が凍った。
 自分のフルネームを知っているような人間は、大概自分を迫害する。
 家族と、組織の人間以外は。

 キャロルは警戒で全身を硬くして相手を見下ろし、少し驚いて瞬いた。

「なんですか、君、」

 言えたのはそこまで。

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「これ、出しておいてさしあげますね」

長袍姿の男は微笑みながら囁いて、ゆったりとした足取りで去っていく。
世界は急速に色を失う。

気づくとキャロルは地面に両膝をついていた。

膝の感触が曖昧だ。
ぬめる両手も、あまり自由に動かない。
どうにか腹を押さえてみた。
在るべきでない場所に、在るべきでないナイフの柄がある。
さっきの男だ。
彼はおそろしく手際よく、ナイフの刃をキャロルの腹に滑りこませてきた。
あまりに自然で、ほとんど力をかけたようにも見えなくて、抵抗する暇もなかった。

傷からは血がにじみ、同時に思考がまとまらなくなってくる。

ここにいるのに、ここにいないような感覚。

ああ、自分が幽霊になったとしたら、きっとこんなふうなんだろうな、そんなことを考えているうちに、何も見えなくなった。

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目蓋の裏で赤がにじむ。

懐かしい幾つの記憶がちらつく。
しっくりと靴底になじむ、真紅の絨毯。
そこに零れた赤ワイン。
美しい山羊革の手袋についた、キャロルの血。

これは、初めてバートラムにあったときの記憶だ。
バートラムが、キャロルを組織に「スカウト」しにきて、泣くばかりで要領を得ないキャロルに淡々と暴力をふるったときの記憶。

それまで完璧な無表情を保ち続けていたバートラムが、手袋の汚れに気づいて、初めて人間らしい顔をした。
あからさまな嫌悪と共に、手袋を脱ぎ捨てた。
その反応を起こさせたのが自分だと理解したとき、キャロルの中で何かが変わった。

恐怖はそのまま、唐突に別のものが沸いてきた。

彼の側に居ようと思った。
彼のために生きようと思った。
これからも酷いことばかりされるのは予想がついたが、それでもいいような気がした。

なぜかといって、そのときキャロルは

死人じみた男が、自分の血で一瞬だけ蘇ったような、

そんなしあわせな勘違いをしたからだ。

心臓が鳴っている。
血が零れている音がする。
この血が全部零れてしまったら、バートラムはまた、あの死人じみた顔に戻るのだろうか。

そんなことを考えているうちに、目蓋の裏の赤が、くるりと一回転して消えた。
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テーマ : ドール    ジャンル : 趣味・実用

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八尋

Author:八尋
ウェットでもあってドライでもあり、ジオラマのように人形を愛でているぼんやりオーナー。
首都圏在住。

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